ELAIZAをつくる音楽DNA シンガーの母が歌うスタンダード・ナンバー、チャイコフスキー、音楽観を変えてくれた最先端ポップス

ELAIZA

女優、映画監督、モデル、カメラマンなど幅広いフィールドで才能を発揮している池田エライザさんが“ELAIZA”名義でアーティスト活動をスタートしました。母はフィリピン出身のシンガーで、幼少の頃から音楽に囲まれて育ったという彼女に、“愛してやまない”大切な曲を語ってもらいました。すると、スタンダード曲、バレエ音楽、BLACKPINK、さらにはウィーン少年合唱団まで! 1stアルバム『失楽園』(11月8日発売)のジャンルレスな音楽性にもつながる音楽的なルーツ、影響を受けた楽曲とは?

撮影:田中達晃(Pash) 取材・文:森朋之
記事制作:オリコンNewS

シンガーの母との発声練習で「文鳥になった気分」

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――ELAIZAさんのお母さんはプロのシンガー。お父さんも音楽好きで、さまざまな曲を聴きながら育ったそうですね。

はい。母は私を出産するギリギリまでライブを続けていたみたいで。「おなかがちょっと狭くなるけどごめんよ」と言いながらステージに立っていたらしいんですけど(笑)、そのおかげで私は産まれる前からいろんな曲に触れていたんですよね。母自身が何でも好きで、ジャンルに関係なく何でも好きで、「この人の歌はカッコいい」とピュアに音楽を楽しむ人なので、私も幼少の頃から幅広く聴いていましたし、影響はすごく受けていると思います。

母が車の中でよく聴いていたのは、ジャクソン5、ビートルズ、アリシア・キーズ、ブリトニー・スピアーズとか。父の車では忌野清志郎さんやチェッカーズ、BOOWYがかかっていて。ジャンルという概念がなかったです。

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――素晴らしい環境ですね!

そうですよね(笑)。部屋の壁にスピーカーが4つ付いていて、たくさんCDやMDがあっていつでも聴けたので。あと、兄2人と弟が1人いて、家にいるとケンカするので、母のリハーサルについて行って、スタジオにいることもよくありました。お菓子をもらったり、ドラムを触らせてもらったり(笑)。

流行りのドラマや音楽には疎かったんですけど、大人になってから日本のポップスが好きになりました。音楽を作ってみると、日本のサウンドと日本語の親和性みたいなものがわかってきて、日本語曲へのリスペクトを深めました。

楽器を習ったことはないんですけど、母と私のコミュニケーションとして、母が弾くピアノに合わせて発声練習もやってましたね。すごく長いメロディーを弾いて、「はい、マネして歌って!」みたいな。私は文鳥になった気分でしたけど(笑)。おかげでかなり喉が強くなりましたね。歌い続けても大丈夫だし、レコーディングでもずっとブースにいられるので。

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――ELAIZAさん、ギターを弾きますよね?

あ、そうですね。高校のときにギターの授業があって。アコースティックギターだったんですけど、当時は仕事が忙しくてなかなか学校に行けなくて、遅れを取り戻したくて1日何時間もずっと弾き続けてめちゃくちゃ自主練したら、クラスでいちばん弾けるようになっていたんです。

――すごい! どんな曲を弾いてたんですか?

オアシスとかビートルズですね。オアシスはコードがシンプルで、覚えやすくて。ギターが上手くなることが純粋にうれしくて、何時間も弾いてました。

悔しい、悲しいことがあると歌う『Over the Rainbow』

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――ここからはELAIZAさんの核となっているような、愛してやまない大切な曲3曲を教えてください。

3曲に絞るのは難しいですけど、まずは『Over the Rainbow』かな。今もそうなんですけど、悔しいことや悲しいことがあると、お風呂で『Over the Rainbow』を歌うクセがあって。

精神安定剤というか、全部がキレイなんですよね。メロディーもそうだし、曲全体が上昇していく感じもそうだし、もちろん歌詞もそう。希望を感じる要素しかないから、歌っていて未来を感じられて、救われたような気持ちになれるんです。楽屋でメイクしているときもいつも歌ってますね。

ジュディ・ガーランドが歌う『Over the Rainbow』

――ジュディ・ガーランド、ドリス・デイをはじめ、伝説的な歌手が歌ってきたスタンダードですね。

私が最初に聴いたのはやっぱり、母が歌う『Over the Rainbow』だったと思います。CDで他の人のバージョンを聴いたのは、大きくなってからですね。自分の『Over the Rainbow』しか知らないくらい、ずっと歌っていました。

ドキドキしたい時に聴く『金平糖の精の踊り』

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――続いて、2曲目を。

チャイコフスキーの組曲『くるみ割り人形』の『金平糖の精の踊り』も子どもの頃から好きな曲ですね。幼い頃クラシックバレエをやっていて、『くるみ割り人形』を踊ったんですが、『金平糖の精の踊り』は、(選ばれたバレリーナが)一人で踊るんです。そのときはお姉さんバレリーナが一人で踊っていたんですけど、この曲が本当に好きで、「私も踊りたい」と思っていました。

『金平糖の精の踊り』

ティム・バートンの映画みたいな雰囲気の曲調で、頭から離れなくて……。今もドキドキしたいときに、この曲を聴くんですよ。それくらいすごく好きな曲。これが自分の“好き”なんだなと思わせてくれるサウンドですね。『ピンクパンサーのテーマ』とかも好きなんですけど、どこか妖しくて、何かが背後から歩み寄ってくるようなゾクゾク感が好きなんですよね。

BLACKPINKにハマった『DDU-DU DDU-DU』

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――スタンダード曲の『Over the Rainbow』、バレエ曲として知られる『金平糖の精の踊り』ときて、3曲目は?

私を変えてくれたという意味では、BLACKPINKの『DDU-DU DDU-DU』ですね。“音楽はこうじゃなくちゃいけない”とがんじがらめになってた時期にBLACKPINKを知って。人生で何にもハマったことがなくて、ライブにも行ったことがなかったし、CDを自分で買ったこともなかったんです。でも、「BLACKPINKかわいい」と思い始めてサウンドを聴いてみたら、いろんな国の音を取り入れていたり、“なんでもやっちゃえ!”感にすごく感銘を受けてハマったんですよね。私は踊れないですけど、踊りたいなと思ったり、すごく自由で楽しいなと思ったし、これが世の中に響いてるのも気持ちいいなと。

BLACKPINK『DDU-DU DDU-DU』

――1曲の中にいろんな要素が詰め込まれてますよね、確かに。

そう、だからいろんなダンスを魅せることもできるんですよね。『BOOMBAYAH』も好きだし、去年リリースされた『How You Like That』にも度肝を抜かれました。1曲で4回くらい曲が変わる感じですから。

BLACKPINK『BOOMBAYAH』

――BLACKPINKのメンバーは、ファッションや考え方、価値観なども積極的に発信していますが、そういうスタンスにも興味はありますか?

すごくあります。私の仕事は、自分自身の日常を見せるタイミングがそんなにないんですよ。BLACKPINKはそうじゃなくて、ファンは“メンバーはこういう子たちなんだ”ということを知っていて、それを含めて応援しているし、愛している。そういうカルチャーの在り方に、まずビックリしました。私は1人で活動していますし、グループ活動に憧れがあるというか、刺激を受けますね。私は自分の日常を発信することがないので、たまにファンの子に会ったりすると、「普通にしゃべるんですね」って言われたりするんですよ。「ホントに存在してるんですね」とか(笑)。

プレイリストはウィーン少年合唱団~TWICE~S・ワンダー

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――(笑)。ちなみに最近はどんな曲を聴いてますか?

相変わらず、いろいろですね。デュア・リパやビリー・アイリッシュもトーンズ・アンド・アイも聴くし、クリスマスが近くなるとウィーン少年合唱団が聴きたくなったり。私のプレイリスト、“ウィーン少年合唱団、TWICE、スティービー・ワンダー”みたいな感じなんですよ。あとはジャズとか、民族音楽とか……いろいろです(笑)。どんなジャンルにも、「ここがいいな」と感じるところが必ずあるので。

「身を投じて」音楽活動始動への覚悟

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――8月には“ELAIZA”として歌手デビューすることを発表しました。音楽活動をしていく決意をするまでには時間がかかったとか。

かなりかかりました。母がプロとして音楽をやっていることもあって、簡単ではないとわかっていたので。精神的な部分でもきついだろうし、身を投じてやらなくちゃいけないこともあると思うんですよ。すごく歌うことが好きだったので、音楽を仕事にして、もし嫌いになってしまったら、私に何が残るんだろう?とも思ったし。

――覚悟が必要だった、と。

はい。でも、『The Covers』(エライザさんが2018年4月~2021年3月までMCを務めていたNHK BSプレミアムの音楽番組)のスタッフの皆さん、リリー・フランキーさんも根気強く話をしてくださって。レーベルの方も「音楽の仕事とは?」を噛み砕いて説明してくれて、少しずつチームが出来てきて。

私が無理してみんなが好きそうなことをやっている姿を見て喜んでくれるファンはいないと思うんですよ。なので、まずはしっかりチームを作ったうえで、「これがカッコいいよね」と思えるものを作って、その姿をお届けしたいなと。長期的に考えたら、絶対にそのほうがいいと思うんです。そのチーム作りにも時間がかかりました。

唯一のバッドエンド曲は短編小説を書いてから作詞

ELAIZA

――1stアルバムのタイトルは『失楽園』。このテーマはどんなふうに作り上げたんですか?

最初に考えていたテーマは“ディストピア”だったんです。ユートピアの中にも絶望はあるし、ディストピアのなかにも希望が含まれていると思ってるんですけど、今の時代の流れだったり、自分で責任が取れる表現にするためには“ディストピア”だなと思ったし、自分にもすごくなじむテーマだったので。スティーヴン・スピルバーグもティム・バートンも好きだけど、ティム・バートンのほうがより好きみたいな感覚です。

『失楽園』のタイトルは、スタッフの方の提案ですね。ミルトンの叙事詩『失楽園』が由来なのですが、歌詞を書くときに神話の女神から着想を得ることも多いので、ピッタリだなと。1stデジタルシングルとして9月にリリースした『Close to you』という曲も、アダムとイヴの“イヴ”がモチーフなんです。「知識の実を食べるのをジャマしないで!」というテーマをポップで包んだ曲ですね。

ELAIZA『Close to you』

――収録曲『Paradise Lost』も『失楽園』と直結してますね。

そうですね。10曲目の『Paradise Lost』は5曲目の『Fall』と対になってるんですよ。『Fall』はアルバムのなかで唯一、バッドエンドの曲。“大切な人に会えるという希望を持って谷底に落ちるんだけど、代償として記憶を失う”という短編小説を書いてから、それを歌詞にしたんです。『Paradise Lost』は、世の規律を守ってきた秩序の女神が「あたしも本当は遊んでみたい」というストーリーなんです。

ELAIZA

――神話的な物語が背景にあるんですね。11曲のうち4曲がELAIZAさんの作詞。1曲は詩人の最果タヒさんなど、さまざまな作詞家の方が手がけています。

自分を過信できない性格なので、人に頼ったり、協力することを楽しめています。「自分で書いたほうが早い」なんて全然思ってなくて、“この人にいてもらったほうがいい”という方々に参加してもらって、“いいものを作る”という同じゴールを目指したいので。

SOILとのコラボは道場の門をくぐった気分

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――1曲目の『AYAYAY』の作曲・編曲を手がけたYaffleさん、『insomnia』を提供した春日俊亮さん、Hiroshi Nakahara(ともにFIVE NEW OLD)とKeach Arimoto(ODD Foot Works)など気鋭のクリエイターとのコラボも印象的でした。

ジャンルもバラバラですよね(笑)。Yaffleさんとは直接やり取りして、「この感じ、いいね!」「歌ってみる?」「こんな感じどう?」と、やりとりしながら作りました。そういうやり方はすごく楽しくて有意義だし、若者たちに向けて、「こういう感じでやるべきじゃない?」と伝えたいんですよね。

『AYAYAY』ミュージックビデオ

――直接コミュニケーションを取って、何かを形にしていくということでしょうか?

はい。世の中のこと、政治のこともそうだけど、まずはディスカッションして、しっかり関係を作って、一緒に生き抜いていくべきだと思うので。私は人見知りですけど(笑)、まずは自分がやらないとなって。やってみると楽しいもので、音楽という共通言語があるから無邪気になれるんです。

ELAIZA

――ELAIZAさんが作詞した『夢街』は、SOIL&“PIMP”SESSIONSが参加しています。

SOILは以前から好きで、ぜひご一緒したいと思っていたんです。プロ集団だし、私としては“頼もう!”って道場の門をくぐったような気分でした(笑)。

――先ほどのお話にもあった『金平糖の精の踊り』のフレーズも取り入れられてますね。

はい。この曲の歌詞は実体験で、小さい頃によく見ていた夢、明晰夢(夢であることを自覚しながら見ている夢)みたいなものをそのまま書いたんです。なのでアレンジにも、原体験をもとにした要素を入れたくて。SOILのみなさんも私がやりたいことを汲んでくださって。アレンジを加えたり、音楽として立体的にしてくださいました。

――ロイ・オービソンの名曲『Oh, Pretty Woman』のカバーは、女性ミュージシャンによる演奏です。この曲を女性だけでカバーすることに意味があったのでしょうか?

そうですね。『Oh, Pretty Woman』は男性が女性に声をかけてる歌だけど、女だけでやってもいいじゃん!って。ウチに生意気な、こしゃくな女の子の猫がいるんですけど、私はその子に向けて“こっち向いてよ!”という気持ちを込めて歌いました。

曲解されてナンボ「自分ごとのように聴いてくれたら」

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――アーティスト活動が本格的に始まったことで、ELAIZAさん自身の思いを伝えられる機会も増えそうですね。

音楽は聴いてくれる人のものでしかないと思っていて。作る過程では、聴いてくれる方の気持ちに寄り添うために私情を挟んで、自分があまり出したくない部分も出しています。聴いてくれる方にも主観で受け取ってもらえたらなと。曲解されてナンボだと思ってるし、あまりにもヒネくれた受け取り方をされると悲しいけど、まずは好きに解釈してほしいです。できるなら、自分ごとのように聴いてくれたらうれしいですね。

――12月25日にはEX THEATER ROPPONGIで初ライブ『ELAIZA 1st ShowCase LIVE ”Paradise Lost”』も控えています。

ライブは自分がダダ漏れになってしまいそうな気がするんですよ(笑)。私は友達ともごはんに行けなくて、仕事の現場とかで仲良くなってもそこだけで完結してほしいタイプなんです。家ででんぐり返しばかりやっているようなガキンチョなので(笑)。でも、ライブとかってカッコつけきれない気がするんですよね。まだどうなるのか想像がついていないです。

――最後に、ELAIZAさんにとって音楽とは?

オウム返しみたいですけど、音楽とは、私です。自分が聴いてきて、私が経験してきたことでしかないという意味で、音楽とは私ですね。

プロフィール

ELAIZA

ELAIZA(池田エライザ)

1996年4月16日生まれ。福岡県出身。2009年、『第13回ニコラモデルオーディション』でグランプリを獲得し、ファッション誌『ニコラ』の専属モデルに。2013年4月からは『CanCam』専属モデルとなり、2011年公開『高校デビュー』で映画デビュー。2015年、園子温監督映画『みんな!エスパーだよ!』でヒロインを演じ、女優活動を本格化した。2018年4月~2021年3月までNHK BSプレミアムの音楽番組『The Covers』でリリー・フランキーさんとともにMCを務め、民放の音楽番組でも歌声を披露。今年9月6日に『Close to you』を先行配信して音楽活動を本格始動し、11月8日に1stオリジナルアルバム『失楽園』をリリース、12月25日に初ライブ『ELAIZA 1st ShowCase LIVE ”Paradise Lost”』を行う。

作品情報

1stオリジナルアルバム『失楽園』11月8日配信リリース

1stオリジナルアルバム『失楽園』11月8日配信リリース

収録曲
01. AYAYAY
02. Close to you
03. etude
04. 夢街
05. Fall
06. insomnia
07. Antique
08. 愛だの恋だの
09. Oh, Pretty Woman
10. Paradaise Lost
11. 惑星

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この記事は、LINE初の総合エンタメメディア「Fanthology!」とオリコンNewSの共同企画です。今後、さらに気になる人の「これまで」と「これから」をお届けしていきます。
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