藤井風、5つのキーワードで読み解く“恐ろしさ” 「好きになるなってほうが難しい」

 

藤井風『HELP EVER HURT NEVER』

アルバム『HELP EVER HURT NEVER』(ユニバーサルミュージック合同会社)より

 

 

「藤井風」と書いて、「ふじい・かぜ」と読みます。
若干22歳、今年1月にユニバーサルからメジャーデビューしたばかりの彼は、今、音楽ファンを熱狂させ、名だたるミュージシャンたちから熱烈なラブコールを受けているすごい存在なのです。
5月20日に発売した1stアルバムは、オリコンデイリーランキングのアルバム部門1位(5月19日付)、Billboard総合アルバム・チャート1位(6月1日付)を獲得するなど、名実ともに快進撃が始まっています。 
「かっこいい」とか「音楽センス溢れる」とか、一言で言うのは簡単ですが、彼の一体何が際立っているのか。昨今藤井さんにネツを上げすぎて少々周囲に煙たがられている筆者が、5つのキーワードで解説します。

 

文:編集部 編集協力:二木元太郎

 

        

1. 声のひきだしが豊か――ソウルフル+デリケートなマジック・タッチ

まず、藤井さんの魅力を語るうえで欠かせないのは、セクシーなボーカル。「久保田利伸と田島貴男と玉置浩二ミックスさせたような声」と評している方もいましたが、言い得て妙。

藤井風、ヤバすぎて草生えて風吹く - kansou

包み込むようにおおらか、ソウルフルでほがらか。それでいて、そっと秘密を打ち明けられているかのような繊細さを兼ね備えています。一番わかりやすいのはこちらの動画でしょうか。

(ああ何万回観ても飽きることのない……)
魅惑のスキャット(0:22~)だけでもぜひ聴いて帰ってください。
コメントのひとつに、「この人実在したんだね…」とあり、思わず笑ってしまいましたが、でもほんとそんな感じ。カリスマ性と色気がむんむんと伝わってきます。

        

2 .指が長い、活動歴も長い――YouTubeで成長を辿ろう

藤井さんのキャリアは、YouTubeでのピアノ演奏動画の投稿から始まっています。公式チャンネル上で、「Fujii Kaze」名義での最初の投稿が確認できるのが、10年前。藤井さんは1997年生まれの22歳なので、このとき弱冠12歳です。カバー演奏のクオリティの高さが反響を呼び、徐々に藤井さんの知名度を上げていきました。

現在確認できる動画のうち、一番古い投稿でカバーしているのは、コブクロの『STAY』。最近披露しているカバー演奏よりもずっとシンプルなアレンジですが、ここで見ていただきたいのは、

……指、長っ!

藤井さんの奏でるピアノの魅力のひとつが、目にも留まらぬ速さで鍵盤を流れていく超絶技巧。その技術を支えているのは、この長い指なんですね。(最近の投稿を見ていると、お顔の小ささと手の大きさとのコントラストが際立っていました)

ちなみに、公式プロフィールによると身長181センチということ。指の長さ、手の大きさに納得です。

長い指はピアノ向きとよく言われますが、鶏が先か、卵が先か的な話で、幼い頃からピアノをガシガシ弾いていると、筋肉が発達するのか指がどんどん長くなる人もいるようです。藤井さんの指は、彼がピアノと過ごした時間を象徴しているかのようで、じっと見つめてしまいます。

なお、2010-11年頃にカバーしているのは、J-POPのまさに王道!なラインナップ中心です。

嵐の『Everything』、いきものがかりの『YELL』、西野カナの『会いたくて 会いたくて』など。それに、ショパンの『幻想即興曲』『革命のエチュード』、リストの『ハンガリー狂詩曲』など難易度高いクラシックも披露しています。 

ブランク期間があるものの、YouTube公式チャンネルでは、12歳から22歳の今まで、10年間の藤井さんの成長の軌跡を辿れます。夢の世界に迷い込んだか……?

 

        

【寄り道・その1】「かっこいい」だけじゃない! 藤井さんの「かわいさ」がわかるアクション3連発

 

 

        

3. 岡山県⇔世界 グローカルなパフォーマンスに酔う

こんなに洗練されていて、「住まい? ブルックリンだよ」みたいな外見の藤井さんですが、一人称は「わし」。歌詞内でも同じで、ほかにも「○○じゃった」「はさがる(「はさまる」の意)」等、独特の方言が耳に飛び込んできます。

そう、藤井さんは岡山県生まれ。それも、浅口郡里庄(さとしょう)町という、人口1万人ほどの小さな町出身。

 

ここ! “まこもたけ”や大原焼が特産品です

 

対して、『何なんw』ミュージックビデオ。全編ニューヨークで撮影されたというスタイリッシュな仕上がり

インターネットやスマホの普及、動画文化のおかげで、もはや、どこに生まれてもセンスと研鑽でどこまででも行けることを証明してくれたのではないでしょうか。かつ、この町に生まれたからこそ育てられたであろう個性が、藤井さんには詰まっているのでしょう。これこそ「グローカル」ってやつ?

部屋着+おうちメガネで弾き語りLIVEを披露する藤井さん。流暢なイギリス弁(英語)から流暢な岡山弁にスルッと移行するところが殺傷力高め

        

4. 昭和の名曲から世界的ヒットの洋楽まで――多彩なカバー

数えてみました。現時点で藤井さんがYouTubeにアップしているカバー曲演奏動画の本数は、J-POP・41本、洋楽38本で、計79本。
もう! どれから見ても最高に楽しく、延々と見続けられます。
ビリー・アイリッシュやアリアナ・グランデ、アース・ウィンド・アンド・ファイアーまで、誰もが愛する&近年人気の洋楽カバーを決めたと思えば、カルロス・トシキ、竹内まりやなどの往年の名曲、尾崎豊に椎名林檎、矢島美容室まで、幅広いJ-POPのカバーを聴かせてくれます。

 

 

一曲でも、好きな曲があれば聴いてみてください。もっとその曲が好きになるはずです。
それにしても、ここまで多弁なピアニストはなかなかいないのではないでしょうか。ピアノが2台以上鳴っているのではと思わせるほどの音の厚み、ベースやギター、ドラム、コーラス、ホーンセクションまでピアノで再現。多彩なパートを一人で演じています。
しかも、藤井さんは基本、すべて耳コピだそう。絶対音感を超える、超絶音感とでも言うべきか……?

どのカバー曲も、それぞれの楽曲、そして音楽への愛を強く感じさせます。
曲によっては、雰囲気にあわせた衣装やカツラなどのアレンジも楽しく、藤井さんのおちゃめな一面も垣間見ることができます。

        

【寄り道・その2】コードはともだち

イントロだけだと何の曲かわかりませんが、『ちびまる子ちゃん』のオープニング主題歌『おどるポンポコリン』のカバー。

アダルトバージョンということで、コード進行をがらっと変えてしまっています。

たとえば、サビの「ピーヒャラピーヒャラ パッパパラパ」から始まる部分、B.B.クィーンズの原曲では、「A|A|F#m|F#m|D|Bm|Esus4|E」と進行していくのですが、藤井さんのアレンジでは、「D△7|C#7 /F|F#m7 /F|Em7 D#7|D△7 /C#|Bm7 /F# /F|Em9|Em9/A D#7(#9)」と、スムース・ジャズの名曲『Just the Two of Us』を思わせるような、夜のにおいのする展開に作り変えています。

「いつ、どこで、どの音を響かせれば気持ちいいのか、完全にわかってます!」というような巧みなアレンジ。もしかして、コードはともだち……?

ほかにも、人気曲のコードを変え、独特の味付けを加えているアレンジ動画がいくつもアップされています。

        

5. 無限の可能性――最新MVではダンスまで

そんな藤井さんの、5月15日に公開されたばかりの最新ミュージックビデオはこちら。

こちらではダンスも披露されており、よりリズム感の鋭さを視覚的に感じられます。くるくる変わる、豊かな表情筋にも注目してほしい!

ボーカルにピアノ、ライブパフォーマンスだけでもありあまる魅力を発揮している藤井さん、そこに加えてダンスまで。 一体どこまで才能とセンスを魅せつけてくれるんだろう、と恐ろしい気持ちになります……!

        

【まとめ】今後の活動予定&まずはANNで一緒に夜ふかし!

5月20日に待望の1stアルバム『HELP EVER HURT NEVER』をリリースしたばかり。来たる5月30日には、『藤井 風のオールナイトニッポン0(ZERO)』で3度めのパーソナリティを務めることが決定しています。生放送で藤井さんのトークとライブ(!!!)が楽しめるとのこと。

さらに、6月に東京・大阪と4daysで開催予定だったLIVEは新型コロナウィルスの影響で中止となってしまいましたが、年末から2021年にかけて全国ホールツアーが予定されています。

2020年春は試練の季節でしたが、きっと出口はすぐそこ。新しい時代の新しい才能がステージを駆け回り、私たちの心をときめきで満たしてくれるのを、楽しみに待ちたいと思います。

以上、「ひとりでも多くの人に藤井風さんのすばらしさを知ってほしい」という気持ちと、「この記事がきっかけでさらにライブチケットが激プレミアになったらどうしよう……」という気持ちがないまぜになったままお届けいたしました!

 

 

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