【初対談】フジファブリックと幾田りらが交わす「I Love You」 2020年一番聴いた1曲は?

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2019年-20年にメジャーデビュー15周年を迎えたフジファブリックと、2020年に大ブレイクとなった幾田りらさん。現在の音楽シーンを代表する2組が接近したきっかけは、幾田さんの歌に惚れ込んだフジファブリックがコラボ楽曲の制作を直々にオファーし、幾田さんが快諾したこと。アーティスト同士の「好き」がつながり、新しい世界が幕を開けた瞬間でした。

今回、フジファブリックの『New Album 「I Love You」リリース記念トーク&ライブ』前の舞台裏を直撃し、2組が初めてファンの前でコラボ楽曲『たりないすくない』を披露する直前の時間をいただいて、フジファブリックと幾田さんの初対談を実施しました。世代の異なる2組のアーティストが、お互いの音楽に抱いていた印象とは? コラボレーションにまつわる制作秘話や楽曲制作を通して深まった互いの魅力に迫ります。

さらに、激動の2020年を過ごしたそれぞれが「昨年もっとも聴いた曲」、情報のストリームが速い昨今の「音楽と消費」についてどう考えているかも聞きました。20年代の日本を代表するアーティストたちは、いまの音楽シーンをどのように捉えているのでしょうか。

取材・文:阿部裕華 撮影:吉松伸太郎

フジファブリック&幾田りらが「2020年最も聴いた曲」4選+α

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――2019-20年にメジャーデビュー15周年を迎えたフジファブリックのみなさんと2020年大ブレイクとなった幾田さん。形は違えど、どちらにとっても2020年は特別な年であったと思います。そんなフジファブリックと幾田さんが「2020年に最も聴いた曲」あるいは「2020年はこの曲!」だと思う曲を教えてください。

山内 総一郎(以下、山内) いっぱいあるな……。1曲じゃなくてもいいですか?

――もちろんです!

山内 おべんちゃらでも何でもなく、マジで言いますね。アルバムでコラボした人たちの曲ばっかりなんですよ。

――3月10日発売した11thアルバムの『I Love You』ではJUJUさん、秦基博さん、そして幾田さんとコラボレーションされています。

山内 その3組はめっちゃ聴いていました。

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――幾田さんの曲ではとくにどの曲を?

山内 やっぱりあの(YOASOBIの)有名な曲ですけれども……。

YOASOBI『夜に駆ける』

山内 ただ、『夜に駆ける』だけじゃなくて、いろんな曲がめちゃめちゃ流れていたんですよね。車に乗っているときにラジオから曲が流れていて、気になる曲は全部YOASOBIだった。

幾田りら(以下、幾田) えぇ……!

金澤 そうそう。昨今のサブスクのプレイリストを流していて、誰だろう?と気になって見てみるとだいたい幾田さんの声で。

山内 メンバー内でも「あの曲聴いた?」みたいな感じで。

加藤慎一(以下、加藤) YouTubeに上がっている動画も共有し合っていたよね。

金澤 うん。「あぁ、いいな!」って思っていました。

幾田 ありがとうございます……!(照れ)

山内 ほかのアーティストでいうと、秦基博くんなら『ひまわりの約束』。リリースされた当初の頃を思い出しながら聴いていて。僕らはちょうど『ブルー』という曲が出来た時期で(ともに2014年夏のリリース)、対バンやったときにお互いに「いい曲だね~」って言い合っていたんですよ。今回、ステイホーム期間中にずっと聴いていて、頭の中に映像が浮かんでいました。やっぱり『ひまわりの約束』は彼の代表曲ですし、超名曲だと思います。

秦基博『ひまわりの約束』

フジファブリック一同 (うなずく)

山内 JUJUさんでいうと『STAYIN' ALIVE』。メンバーにもマネージャーにもディレクターにも言ったんですけど、すごくノリノリの曲でめっちゃカッコいい。蔦谷(好位置)さんアレンジの楽曲で、それをめっちゃ聴いていました。

JUJU『STAYIN' ALIVE』

山内 JUJUさんとはレコード会社が一緒なんですけど、JUJUさんが昨年出したカバーアルバム(『俺のRequest』)で僕らの『手紙』をカバーしてくださって、JUJUさんの名曲を聴くようになりました。それがキッカケで今回のコラボレーションにも結びつきましたし、不思議な気持ちです。

――素敵なご縁ですね。

加藤 山内くんが言ってくれた曲は僕らもすごく聴いていました。           

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――ありがとうございます! では、幾田さんはいかがでしょうか?

幾田 2020年はaikoさんやユーミン(松任谷由実)さんなど、J-POPの最前線をずっと走り続けている女性ボーカルの方たちを聴いていました。どの曲というよりは、このアーティストさん!という感じで。

あと、「この1曲!」と絞るなら、デミ・ロヴァートさんの『Warrior』はたくさん聴きました。戦う人の曲なんですけど、私自身2020年はすごくいろんなものを乗り越えなきゃいけなかったので。

デミ・ロヴァート『Warrior』:アメリカで活躍する1992年生まれの歌手デミ・ロヴァートの4thアルバム『Demi』(2013年)に収録。痛みを乗り越えて「私は戦士となる、二度と傷つけられない」と歌うパワー・バラード。

山内 幾田さんにとっては激動も激動な年でしたよね。

幾田 そうですね……本当に生活が変わり、そんな中で心も身体も追いついていかなきゃいけないタイミングだったので、ちょっと背中を押してもらえた曲が『Warrior』でした。

「表現の引き出しめっちゃある!」(山内)「私の存在を知っていることに驚き」(幾田)

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――ここからはフジファブリックと幾田さんのコラボレーション楽曲『たりないすくない』についてのお話を聞かせてください。先ほど2020年は幾田さんの曲をたくさん聴いていたとお話しされていましたが、改めてオファーをしたきっかけを教えてください。

山内 幾田さんの曲をたくさん聴いていて、幾田さんの歌声には柔らかさと力強さをとても感じていました。

加藤 YOASOBIと幾田さんのソロではまた方向性が違っていて、とても表現が豊かだなと。

幾田 わあぁ、ありがとうございます。夢かなと思うくらい嬉しすぎて、すごくドキドキしちゃいます……。

山内 「この人、表現の引き出しめっちゃあるぞ!」ってね。声を聴いただけで、「この歌はすごい!」と思ったので、一緒にやってもらえないかなと。

面識はなかったのでダメもとでオファーしてみたらどうだろうか?みたいなところから始まり、レコード会社を通じて連絡させていただきました。まだYOASOBIとしては歌番組などにも出ていない頃でしたよね。だから、どういう姿で歌っていらっしゃるのかも分からず。

――そんな時期にお声がけされていたんですね。

山内 顔を出していないからこそ感じる声の力強さもあったのだと思います。まだ10代だったもんね?

幾田 そうですね、最初にお話をいただいたときは誕生日を迎えていなかったので19歳でした。

――オファーが来たとき、幾田さんはどんな気持ちでしたか?

幾田 私の存在を知ってくださっていることにまず驚きで、「え! フジファブリックさんがオファーしてくださったんですか!?」と。曲を聴いてくださっていたのも知らなかったので、コラボのお話が来たときは嬉しい気持ちでいっぱいでした。

山内 そう言っていただけると僕らもありがたい。

金澤・加藤 うん。

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――幾田さんは現在20歳なので、フジファブリックを聴いていたど真ん中の世代とは若干ズレるのかなと思っています。実際、幾田さんにとってフジファブリックはどのような存在だったのでしょう?

幾田 J-POPの第一線で活躍されている方たちなのでもちろん知っていましたし、どストライクな世代ではないですけど聴いたことのある曲はたくさんありました。私の世代でもわかるほど残り続ける曲をつくられている方々だったので、もうレジェンドというか……。

フジファブリック一同 レジェンド!(驚き)

金澤 初めて言われましたね(笑)。

――幾田さんは、フジファブリックの曲でお気に入りはありますか?

幾田 今回のコラボにあたって、マネージャーさんにおススメ曲のプレイリストを作ってもらったんです。そのなかで、ふたりとも共通して大好きだったのが『ブルー』でした(※取材後に行われた配信ライブでは『たりないすくない』に続いて『ブルー』を披露)。

今回、そんな方たちにゲストボーカルとして呼んでいただけて本当に嬉しいです。おととい(取材日は3月9日)の配信ライブもかじりついて見させていただきました!

フジファブリック一同 えぇ!

――3月7日に公演されたFAB CHANNEL会員(フジファブリック オフィシャルモバイル会員)限定ライブですね。

幾田 配信で見させていただいたのですが、ステージに立たれている姿を見たとき、本当にカッコいい方々だなと感じました。一緒に歌えるのがとても光栄です。

山内 あれを見られていたのかと噛みしめていました……。だいぶゆるい感じのライブだったので、お恥ずかしい(笑)。

幾田 トークもすごく面白かったです! 加藤さんの怪談も(笑)。

金澤 (笑)。僕らのファンの中でも一番コアな方々向けのライブだったので、見られていたんですね……!(照れ) という感じです。

山内 やっぱり自分たちの活動ってファンの方たちの応援がなくてはできないことだったので。10年以上活動を続けてきて、2009年に志村(正彦)くんが亡くなり、そこからバンドを続けるとなったとき、自分たちだけがやろうと言っても周りがOKと言ってくれなければできなかった。スタッフの方々もそうですけど、やっぱりファンクラブ的なモバイル会員の人たちには支えてもらっている感じがあるんですよ。

だから、その人たちに対しては甘えが出てしまうのかな(笑)。みんなの前なら何でもOKだろう!と甘えが出たライブだったので、それを見られているのはやっぱり恥ずかしいですね……!

幾田 ファンの方々との信頼関係が素晴らしくて、すごく憧れます。理想です。

山内 幾田さんも今後いろいろな活動でライブをされていくと思うので、楽しみですね。今でも、SNSで「コラボします」って発信したら「りらちゃん命!」と言う方もいますから、人前に立ったら凄いことになりそう(笑)。

幾田 あはははは!

「一発目でここまでの完成度!? 」 山内が痺れ、震えた幾田の表現力

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――コラボレーションした『たりないすくない』は、フジファブリックの持ち味ともいえるサイケデリックな浮遊感と、中毒性のあるリフ、そして山内さんの色っぽいまっすぐな声と、幾田さんの少女性のなかに毒を秘めた透明なボーカルが絶妙にからみあった1曲でした。最初に幾田さんが曲を聴いたときは、どこまで完成されていたのでしょうか?       

フジファブリック『たりないすくない feat. 幾田りら』

加藤 たぶん最初に聴いてもらったのはフルコーラスなくてワンコーラスでしたよね。歌詞もなく「ラララ」のみのやつだったかな。

幾田 そうですね、まずはワンコーラスのサウンドだけを聴きました。YOASOBIの活動でも幾田りらの活動でも挑戦したことのないようなサウンドにビビビッ!ときました。

フジファブリック一同 ビビビッ!

幾田 ふふふ。出だしのギターのカッティングが心地良いなと最初に感じて。まさにフジファブリックさんの音楽だなと思い、この渦に引き込まれていきたい!と思いました。

山内 ありがとうございます。嬉しいですね……。

――『たりないすくない』のサウンドにはどのような工夫が施されているんですか?

山内 僕らにとって、アーティストの方たちとコラボレーションするのはすごく稀なことで。ご一緒するなら幾田さんの声の力や存在感をお借りする気持ちも半分あり、幾田さんが引き立つように、できるだけシンプルなオケに研ぎ澄ましたいと思っていましたね。

金澤 コラボレーションさせてもらうこと自体、自分たちが今までできなかった別の何かが生まれるんじゃないかと思っていたのも大きかったですし。

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――レコーディングの際には、幾田さんに「魔女になったつもりで歌ってみて!」とボーカルディレクションをされたんですよね。

加藤 (金澤さんのほうを見て)彼が言ったんですよ。

金澤 歌詞は加藤くんが書いたんですけど、「本当の私はちょっとだけずるいよ」というフレーズがありまして、小悪魔っぽいと思いました。それを幾田さんがどういう風に表現してくれるのか、どんどん聴きたくなってしまったんです。そしたら、表現力が本当に素晴らしくて……1テイク目でほぼOK。CDを聴いているみたいでしたね。

――そこまでの完成度とはすごい……!

山内 あれは本当にすごかった! ボーカリストとしてちょっと凹むもん、あんなに上手かったら。「一発目でここまでの完成度!? 痺れる! 震える!」って(笑)。この感情で歌ったらどうなる?といった僕らのリクエストにも瞬時に応えてくれましたし。

幾田 嬉しいです、ありがとうございます……!

金澤 おそらく練習をたくさんしてくださったんだろうなと。どういう風に歌うかのプランをちゃんと考えてきてくださりました。

グルーヴを意識して練習、フジファブリックの世界に

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――YOASOBIの『夜に駆ける』ではテンポを16分音符にまで刻むという鬼のような練習方法をされていたそうですが、『たりないすくない』はどのように練習をされていたのかぜひ教えてください。

幾田 YOASOBIの曲だとテンポが速く、かつ一つ一つの言葉に1音ついているのでメトロノームで16分を刻む練習をしています。でも、曲によって練習方法は違っていて、それこそ『たりないすくない』はグルーヴに乗る意識を持って練習しました。

山内 もう耳が痛いですよ……。

一同 ははははは!

金澤 こちらからお願いしたらどういう表現が返ってくるのかとても楽しみでした。レコーディングは楽しませてもらいました。

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――今回作詞作曲された加藤さんとしては、幾田さんのボーカルはどのような印象でしたか?

加藤 大人と少女が同時にいるというか、まさに書いた歌詞の中の世界の人としてバッチリはまっていたなと思います。(幾田さんに向けて)本当にありがとうございます。

幾田 (照れながら)こちらこそありがとうございます!

山内 幾田さんはいくつのときから歌われているんですか?

幾田 山内さんがインタビュアーみたいに……!(笑)

山内 すみません(笑)。

――どうぞどうぞ、続けてください(笑)。

幾田 歌い始めたのは物心ついた頃からですね。ずっと好きで歌っていました。アーティストとして活動を始めたのは中学3年生くらいで、ライブ活動をしたりオーディションを受けたりしていました。

山内 アコギも、歌うときに自分で伴奏するために始めたんですか?

幾田 そうです。父が家でギターの弾き語りをしていた影響もあります。

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金澤 じゃあもう自然と音楽に触れる環境があったんですね。

山内 YouTubeとかも小さい頃からあった世代でしょ?

幾田 ありましたね!

山内 それは、上達が早いですよね……。今後、YOASOBIとしての活動でも幾田りらさんとしての活動でも、いろんな世界を見せてくれるんじゃないかなと期待してしまいますね。すでにレコーディングのときと今とで全く違う感じがするもんね。

幾田 それは、歌い方がですか?

山内 いや、人ですね。アーティストの雰囲気をビシバシ感じる。

金澤 たしかに! 伸びがすごい!(納得)

――レコーディングはいつ頃だったんですか?

金澤 (2020年の)年末でしたね。

山内 そこから、幾田さんとしては、あれもあったしあれもあったしあれもあったからね……。

幾田 たしかにそうですね! いろいろ経験させていただきました。

――年末にはYOASOBIとして紅白に出場し、先月2月には初ライブを行うなど、激動の真っ只中ですよね。

山内 一個一個の舞台が勝負じゃないですか。そういう大変な戦いを短い期間の中でくぐり抜けられて、すごく光輝いている姿を拝見していると今後が末恐ろしい……。

金澤・加藤 末恐ろしい!(笑)

山内 どんな世界を見せてくれるんだろうなって思います。

幾田 頑張ります!

サブスク時代の音楽と消費 時代の“芯”になる音楽を

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――冒頭の質問では、みなさん新しい曲から数年前のものまでさまざまな曲を挙げてくださいました。それは、CDやレコードといったパッケージごとに購入するのではなく、定額音楽配信サービス(以下、サブスク)などで年代関係なく手軽に音楽が聴けるようになった環境があるからだと感じます。

一同 そうですね。

――そうして手軽に音楽にアクセスできる時代だからこそ、消費のスピードも速くなっているのではないかと思っていて、みなさんが考える「音楽と消費」について教えていただきたいなと。

山内 音楽の消費の速さは昔からそんなに変わっていない気がします。自分たちの小中学生時代もたくさん新曲が出ていて、レンタルショップで大量に短冊型のシングル(8センチCD)が並んであった。悲しいですけど、あまり借りられていない曲はすぐにワゴンに並べられて売られていました。そういう意味では今でも変わっていない気がします。

ただ、聴きやすさだけは増しているなと。自分達の曲ですら「あの曲どうだったっけ?」となったとき、サブスクで聴きますし(笑)。

幾田 分かります!

山内 ね(笑)。そういう利便性はあるわけで。だからこそ残る曲が少ないかというとそんなことはない。例えば、ユーミンさんの『卒業写真』はCDの形で売られていなくてもサブスクで残っていると思います。ビートルズの『Let It Be』も。

結局、時代にそぐう強い曲が残っているんです。それに加えて、時代に寄り添いながら、どの時代に聴いてもなぜか当時の風景に一瞬でワープできるような音楽がずっと普遍的で歌われ続けていくのかなと。         

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――たしかにそうかもしれません。

加藤 時代もそうですけど、好きな曲ってその人にとってずっと残り続けていくものじゃないですか。逆に自分に合わない曲は消えていく。それは昔も今も変わらないなと思いますよね。

金澤 僕が思うのはサブスクが利用されるようになってから、逆に(音楽が)消費されない、捨てられないような気がしています。

加藤 たしかにね。

山内 物としてはないけど、残り続けるもんね。

金澤 必ず残っているから、昔の曲から今の曲まですべてが横並びで聴けるのはすごく良い。年代別のプレイリストとか。

山内 あるよね。僕、94~96年でベロベロになるまで飲めるわ……。

一同 あはははは。

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――好きな年代の曲はいくらでも語り合えますよね(笑)。

金澤 年代別のプレイリストを聴くと、中心に一本の芯があるようにこの年代はこういうサウンドが流行っていたんだと感じられるんですよ。“時代の音”が必ずある。ビートルズなら、「この年代はやっぱりすごかった!」とかね。

山内 60年代はすごいとかね。63年はビートルズが異色の存在で唯一無二だったけど、65~67年は同じようなバンドがたくさん出てくる。そういうのをパッと思い出して聴けるのがサブスクの面白いところかもしれません。

金澤 だから、我々曲をつくる側としてはそういう強い芯をつくれたらいいなと思います。

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――時代を象徴するような曲づくりが重要ということですね。幾田さんはサブスクが主流となっている世代かと思うのですが、どう感じられていますか?

幾田 サブスクが普及し始めてから、自分の世代じゃない音楽にも簡単に手を伸ばせるのは自分の中ですごくありがたいことですね。そういう意味では私にとってプラスでしかないです。

音楽と人の関係はずっと昔から変わらないですし、今YOASOBIや私自身が発表した曲がこれから先も残っていくと考えると未来にワクワクします。

――CDとしての物がなくなってもデータが永遠に残り続けて数百年後の人が聴くと思うと、SFのようで夢が膨らみますね。

山内 昔は廃盤になってしまったCDやレコードにプレミアがついてめちゃくちゃ高い値段で売られていることもありましたしね。それが今は簡単に聴けてしまうのはラッキーですよ。何万も払わないと聴けなかったのに、今はデータとして上げていただいて……ありがとうございますという感じです(笑)。

幾田 でもCDは変わらずあり続けてほしいですね! 私自身、小学生くらいのときは自分でCDを買ったり借りたりして音楽プレーヤーにデータを入れる作業をしているタイプでした。CDが欲しい感覚はみなさんあると思いますし、残り続けるとも思います。

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「ギャップが素敵」 「声を出した瞬間にパーンと抜ける力強さ」

――最後に、改めてフジファブリックと幾田さんがコラボレーションをして気づいたお互いの魅力についてお聞かせください。

山内 魅力だらけですよ。

加藤 歌の魅力もですけど、お人柄もとても素晴らしい。レコーディングでお会いしたとき、なんていい子なんだ……と思いました。

山内 ギャップがすごかったんですよ。

幾田 え! そうですか?

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――どういったところにギャップを感じたんですか?

山内 物腰柔らかくレコーディングに入ってきて、声を出した瞬間にパーンって抜ける力強さ。ギャップに驚かされます。すごく魅力だと思いますね。「私、歌ってまっせ!」みたいな感じでもないのに。こんなことを僕が言うのも変ですけど、その柔らかさは残しておいてほしい(笑)。

一同 あはははは!

金澤 ファンとしてね(笑)。

山内 そう、ファンとして(笑)。突然ゴッド姉ちゃんみたいになってもいいんですけどね(笑)。

――今後の幾田さんがどうなっていくのか楽しみですよね! そんな幾田さんはフジファブリックの魅力についていかがでしょう。

幾田 私もたくさんあるんですけど、最初お会いするまではやっぱりバンドマンなので……何て言えばいいんですかね……。

金澤 バンドマンのイメージってあるよね(笑)。

山内 ド不良ね!(笑)

幾田 そこまでは思っていないですけど!(笑) 実際にお会いするまで分からないことがたくさんあって、でもいざお会いしてみるとすごく柔らかい雰囲気をお持ちで。レコーディング前に「お茶会します?」とお話する場を設けていただいて、気さくにいろいろお話してくださったんです。歌いやすいムードをつくっていただきました。

――へぇ! どんなお話をされたんですか?

山内 「コーヒー飲む?」とか、「そのクリアファイル使ってるんだ!」とか(笑)。たわいもない話しをしましたね。

幾田 そうなんです。お人柄の柔らかさとバキバキにカッコいい音楽をやられているギャップがとても素敵。

レコーディングと今日の生配信番組のリハーサルを終え、フジファブリックさんの音楽という大きな渦の中を自由に泳がせていただいている感覚があってとても幸せでした。……魅力ではなく感想になってしまいましたね(笑)。フジファブリックさんの音楽そのものが魅力だと思います!

フジファブリック一同 ありがとうございます!

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プロフィール

フジファブリック

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山内総一郎(やまうち・そういちろう Gt. / Vo.)、金澤ダイスケ(かなざわ・だいすけ Key.)、加藤 慎一(かとう・しんいち Ba.)によるロックバンド。2000年、志村正彦を中心に結成し、2004年4月シングル『桜の季節』でメジャーデビュー。2009年 志村が急逝し、2011年夏より山内、金澤、加藤の現在の体制で再始動。2010年にリリースしたアルバム『MUSIC』収録曲『夜明けのBEAT』が『モテキ』のTVドラマ版(2010年)映画版(2011年)のオープニングテーマとして起用されるほか、次々と数多くのアニメ主題歌も担当。2019年にはデビュー15周年を迎え、10枚目となるフルアルバム『F』、初のPLAYLIST ALBUM『FAB LIST』をリリース。さらに”フジファブリック 15th anniversary SPECIAL LIVE at 大阪城ホール2019「IN MY TOWN」”を大成功に収めた。2021年2月にはTVアニメ『Dr.STONE』 第2期オープニングテーマ『楽園』、3月には11枚目の新作アルバム『I Love You』をリリース。JUJU、秦基博、幾田りら3組のアーティストとのコラボレーションを果たす。

公式サイト

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幾田りら(いくた・りら)

2000年9月25日生まれ。東京都出身のシンガーソングライター。2019年11月16日に発売した2ndミニアルバム『Jukebox』の収録曲『ロマンスの約束』がYouTube100万回再生を突破。2020年にはテレビCMやアニメーション映画での歌唱も話題になり、12月には新曲『ヒカリ』を配信リリース。2021年3月配信限定シングル『Answer』をリリース。東京海上日動あんしん生命あんしん就業不能保障保険のCMソングに抜擢。YOASOBIのボーカル・ikuraとしても活動しつつ、アコースティックセッションユニット「ぷらそにか」にも所属。

作品情報

フジファブリック 11thフルアルバム『I Love You』

初回生産盤

初回生産盤

通常盤

通常盤
  • 2021年3月10日発売

15周年を経たフジファブリックが前作『F』から約2年2か月ぶりのフルアルバムをリリース。前作から今作までの期間、メンバーそれぞれがアーティストとして、人間として、様々な節目を迎えた。16年目にして“今のフジファブリック”だからこそ伝えられる想い、“愛”をテーマにニューアルバムをリリース。

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