「演じたのが友樹さんだから、好きになった」と言われるまで──小野友樹を導いた5人のキャラ

小野友樹

イケメンからギャグ満載のキャラクターまで、どんな役柄でも多彩に演じてみせる声優・小野友樹さん。

プロサッカー選手を目指していた小野さんが、声優の道へと大きく人生の舵を切るきっかけを作ったのは、ある先輩声優の演技でした。
そこから、巧みな声色と、力強さと優しさが違和感なく共存する演技で次々と私たちを魅了するようになるまで、一体どんな歩みを重ねてきたのでしょうか?

そこで今回は、小野さんの声優人生を振り返ってもらい、今でも“大ファン”と尊敬してやまない、運命的な出逢いをした大先輩への熱い思いと、「声優・小野友樹」を決定的に作り上げた5人の役柄について語ってもらいました。

「オーディションに受からない理由」を思い知るきっかけになった作品から、「友樹さんが演じてくれたからこのキャラを好きになった」と言われるようになるまで――ファン必読! 声優・小野友樹のワインディングロードをたどります。

撮影/尾鷲陽介 取材・文/木口すず

「谷山さんと同じ職場で働きたい!」そのファン心から声優に

小野友樹

──まずは、小野さんが声優になったきっかけを聞かせてください。

僕はもともとサッカー選手になりたくて、小学生の頃から下手なりに10年、サッカーに打ち込んでいました。でも足のケガからプロの道が閉ざされてしまって。どうしようかと悩んでいたときに出会ったのが、声優の谷山紀章さんでした。谷山さんが主演を務めていたアニメでのお芝居に惹かれ、谷山さんを通して、ラジオや音楽活動までおこなう「声優」というお仕事が、面白くて素敵だなと感じました。

ファンとして谷山さんを追いかけていたあるとき、たまたま一対一でお話させていただく機会があったんです。どこの馬の骨ともわからない僕にも、谷山さんはごく普通のトーンで接してくださいました。それが嬉しくて! 自分もこういう懐の深い人になりたい、谷山さんと同じ職場で働きたい!と思い、その日から声優を志しました。

──それまでは声優になるという選択肢は、一切なかったのですか?

趣味で作曲したり、自分でラジオを録ったりするのは好きだったのですが、それを職業にしようとまでは思っていませんでした。

毎日がサッカー三昧だったことに加え、両親がNHKに勤めるアナウンサーだったので、家で流れているのは基本的にNHK。そんな家庭環境もあって、たとえば『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『マトリックス』、『千と千尋の神隠し』と、普通はみんな知っているようなエンターテインメントにはまったく触れずに生きてきたんです。それでもこの世界に足を踏み入れたのは、ひとえに谷山さんと働きたいがゆえでした。

──そんな谷山さんからの印象深い言葉は?

『黒子のバスケ』に出演していた頃、サシでお話ししているときに、「すごいものを持った男だっていうのはわかるよ。じゃないとここまで来れないよな」と言ってくださって。「俺で言うマイケル・ジョーダンとバスケしているようなもんでしょ?」と。つまり、谷山さんにおいての神が、僕にとっては谷山さんになるわけです。

いちファンの僕のこともそんなふうに受け止めてくれて、しかも谷山さん自身の言葉で返していただけたのが何よりも嬉しくて、今でも印象に残っています。……って、ただのファンの発言みたいになっちゃいますが(笑)、でも本当に大好きなんです。今もその気持ちは変わりません。

──小野さんの熱いファン魂が伝わってきます。

ただ、自分で「同じ職場で働きたい」と言ったからには、ファンのままでは足りないものがある。そう思って、自分がプロの声優になるにあたり、谷山さん、引いてはGRANRODEO(谷山さんがヴォーカルを務める音楽ユニット)のファンを一度やめたんですよね。

──熱心なファンにもかかわらず、そんな過酷な決断を?

「追いかけているだけでは横に並べないな」と。そう思って、CDやライブDVDを買うのを一切やめました。その後、デビューしてから5〜6年以上経ち、『黒子のバスケ』への出演が決まったときに、ランティス(GRANRODEOが所属する音楽レーベル)さんから「オープニング主題歌を歌っているGRANRODEOのライブを観に来ませんか?」と声をかけていただきました。そこでやっと、ライブに伺うことができたんです。

そのときに、「もうこの気持ちを秘めておく必要はない! よし、今日から解禁だ!!」となり(笑)、野音(日比谷野外音楽堂)ライブに参加しました。その日のことは、今でも忘れられません。そこからまたファン活動を再開しました。

小野友樹

【小野友樹を導いた5人のキャラクター】

声優としてのキャリアの傍にはいつも、このキャラがいた

銀魂´ Blu-ray Box 上(完全生産限定版)より(アニプレックス、2016)

銀魂´ Blu-ray Box 上(完全生産限定版)より(アニプレックス、2016)

『銀魂』

放送:2006年〜
原作:空知英秋
制作:サンライズ、バンダイナムコピクチャーズ
キャスト:杉田智和、阪口大助、釘宮理恵 ほか
あらすじ:『週刊少年ジャンプ』で14年以上にわたり連載されたマンガ。テレビアニメは全367話が放送された。「天人(あまんと)」と呼ばれる宇宙人に支配され、高層ビルやバイクなどなんでもありの江戸。その片隅で「万事屋」を営む坂田銀時(さかた・ぎんとき)、そしてそこで働く志村新八(しむら・しんぱち)と神楽(かぐら)。3人は奇々怪々な人々や事件と出会いつつ、いつしか地球を救うことに……?

──そんなきっかけからデビューし、新人時代はとにかく「ガムシャラ」にやってきたという小野さん。今回、声優人生において節目や転機となったという意味で「ご自身を作ったキャラクター」を5つ選んでいただきました。まず、『銀魂』より徳川茂茂(とくがわ・しげしげ/通称「将軍」)。銀時たちが暮らす江戸を治める征夷大将軍で、世間知らずですが心優しい“将(しょう)ちゃん”です。

まだバイトもしていた駆け出しの時期に、ありがたくもいただけた名前付きの役が茂茂でした。加えて、途中から登場したキャラクターにもかかわらず、その反響も相まって以降何度も物語に登場し、最後には「将軍編」まで描かれるほど、『銀魂』のなかでもインパクトを持つ人物になりました。

2016年に『銀魂』のアニメ化10周年を記念して両国国技館でイベントがあり、僕も出演させていただいたのですが、ちょうどそのとき僕自身も声優活動10周年だったんですよね。声優としてのキャリアを一歩一歩進んでいくなかで、ずっとそばには将軍がいたような感覚があります。

──収録に加わったばかりの頃の現場の雰囲気は覚えていらっしゃいますか?

アニメに詳しくない僕にもわかるほど、とてつもない経歴をお持ちのキャストの方々が現場にいらっしゃるわけです。そこに、作品世界のなかでは一番偉い「将軍」役として登場するということで、心底緊張しながら現場に入りました。

でも、その頃同じ事務所に所属していた銀さん(坂田銀時)役の杉田(智和)さんが、「うちの後輩なんで、よくしてやってください」と、僕のことを紹介してくださり、心強かったです。志村新八役の阪口(大助)さんはじめ、みなさん新人声優の僕を温かく迎え入れてくださいました。

杉田さんにとって僕は後輩第一号だったみたいで、「初めて後輩というものができた」とおっしゃっていました。そんな杉田さんと長く共演させていただけた作品という意味でも、この役はとくに心に残っています。

空知英秋『銀魂』27巻(集英社、2009)より

空知英秋『銀魂』27巻(集英社、2009)より
──『銀魂』はギャグの応酬がすごい作品ですが、収録中に思わず笑ってしまうことはないのでしょうか?

あります、あります(笑)。ほかの役者さんも笑っているときもありますし。本番はもちろんキュッとこらえていますけど、それでも思わず笑ってしまうときもあるほど、面白い現場でした。

小野友樹

小野友樹

「このキャラが今後大事になる、気合いを入れろ」Pからの発破が嬉しかった

『遊☆戯☆王5D’s』 DVDシリーズ DUELBOX【4】より(ポニーキャニオン、2009)

『遊☆戯☆王5D’s』 DVDシリーズ DUELBOX【4】より(ポニーキャニオン、2009)

『遊☆戯☆王5D's』

放送:2008年〜
原作:高橋和希、スタジオ・ダイス
制作:ぎゃろっぷ
キャスト:宮下雄也、星野貴紀、浅沼晋太郎 ほか
あらすじ:アニメ『遊☆戯☆王』シリーズの3作目。未来都市「ネオ童実野シティ」に生きる不動遊星(ふどう・ゆうせい)は、自分と仲間の大切なカード「スターダスト・ドラゴン」を奪ったかつてのライバル、ジャック・アトラスとデュエルするため、日々力を磨いていた……。

──次は『遊☆戯☆王5D's』の鬼柳京介(きりゅう・きょうすけ)。主人公の遊星がかつて所属していた「チーム・サティスファクション」のリーダーで、登場初期と再登場時とでキャラクター性が大きく変化するなど、ファンからの人気が高いキャラです。

まだバイトをしながら新人として活動していたときにオファーをいただけた、誰もが知る『遊☆戯☆王』シリーズの、しかも主人公の宿敵ポジション。僕にとっては忘れられないキャラのひとりです。鬼柳も、『銀魂』の将軍のようにあとから何度も登場したり、彼にフィーチャーしたパートを作っていただけたりと、大変注目していただけました。今でも印象深い、自分の代表作だと考えています。

──アニメファンなら絶対好きになってしまうキャラですよね!(笑)

ははは、そうですね、いろんな形で楽しんでいただけたみたいで(笑)。

──とくに登場時の鬼柳は、お芝居もかなり弾けている印象です。

台本に「ヒャーハハハ!」と書いてあるセリフをどう表現するのかは役者次第だと思いますが、僕の表現はああだったんですよ。これはあとから小野勝巳監督に伺ったのですが、オーディションでの笑い方のお芝居が大きな決め手となって、僕を選んでいただけたそうなんです。

正直、新人に任せちゃいけないほど芝居のバリエーションが必要だったり、後々キャラクター性も変化したりする役ですが、自分が表現するものを認めていただけて、あれだけ重要なキャラクターを任せてもらえたことが本当に幸せです。

──スタッフから受けた演出に関する指示で、とくに心に残っているのは?

登場して間もなく、主人公の不動遊星に恨み言をぶつけるシーンがあったのですが、収録の前週に、プロデューサーの方から「ちょっと話がある」と声をかけられて。「ここから鬼柳が大事になってくるから、本当に気合いを入れろよ」と、発破をかけてくださったんです。

芝居に関してディレクションの言葉をもらうことはありますが、プロデューサーの方が直々に、しかも新人の自分に指示をくださることって、なかなかないと思います。それだけその方が作品に懸けていたのだと思うし、大事なポジションである僕に「新人だけどお前に託したから、頼むぞ!」と想いをぶつけてくれたのが、嬉しかったです。

また当時、デュエルのことをより深く知っていたほうがお芝居にも生きると思い、改めて『遊☆戯☆王』のカードゲームで遊んでいました。いろいろと研究を重ねた結果、100人近くの関係者が参加する大会で優勝できたんですよ。今でも家にトロフィーがあります!(笑)

小野友樹

オーディションに“受からない”理由がわかったのは、彼を演じたとき

『君に届け 』VOL.3 [DVD]より(バップ、2010)

『君に届け 』VOL.3 [DVD]より(バップ、2010)

『君に届け』

放送:2009年〜
原作:椎名軽穂
制作:Production I.G
キャスト:能登麻美子、浪川大輔 ほか
あらすじ:原作は椎名軽穂手がける『別冊マーガレット』連載の少女マンガ。北海道の北幌高校に、真っ黒なロングヘアーで雰囲気の暗い、ともすれば一見不気味な少女がいた。陰で「貞子」と呼ばれる彼女の本名は、黒沼爽子(くろぬま・さわこ)。ピュアで優しい性格だが、内気で周りに馴染めずにいた爽子は、ひょんなことからクラスメイトで人気者の風早翔太(かぜはや・しょうた)と親しくなる。

──続いて『君に届け』のピンこと荒井一市(あらい・かずいち)。主人公の爽子たちの通う高校の先生で、教育者らしからぬ言動も多いものの、悩む生徒の背を押す言葉をかける温かい人です。

風早翔太役の浪川(大輔)さんはじめ、そうそうたるキャストのみなさんが揃っていました。そして、みなさんが生徒役なのに対して、一番キャリアの浅い僕が先生役でした。

もちろんマイク前では先輩方とも対等であり、「自分は先生だ」という気持ちで演じさせていただいていました。でも、自分とほかの方々のお芝居を客観的に比べたときに、「あれ? このままだと俺、ここに並べないぞ……」と感じた瞬間があったんです。

──というと?

その頃はなかなかオーディションにも受からない時期で、まだバイトも続けているなか、いただけたチャンスがこの役でした。その現場で、「なぜ自分がオーディションに受からないのか」の理由がわかった気がしました。だって、ほかのオーディションで僕が不合格だったときに、実際合格したのがその現場にいるみなさんだったりするわけです。

なので、「この人たちと芝居の上でも並び立てないと、自分はここにいられないんだ」と気づくことができました。何かが大きく変わったというよりも、意識の上でひとつ大きなヒントを得たような、そんなきっかけをもらえたのがピンという役です。

──収録現場はどんな様子でしたか?

いつも輪の真ん中には浪川さんがいらっしゃいました。みんなが「なみさん、なみさん!」と慕い、浪川さんは持ち前の大きな器でその声に応える。そんな浪川さんを中心にチームとしてまとまっていて、僕も「『なみさん』と呼ばせていただいていいですか!?」と聞いて快諾していただいて以来、あだ名でお呼びしています。

毎週の打ち上げでは、新人の務めとして「店、予約してきます!」と先陣切って動いていました(笑)。

小野友樹

これまでの声優人生において、自分の集大成になった役

『ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイヤモンドは砕けない』Blu-ray BOX1より(ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント、2020)

『ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイヤモンドは砕けない』Blu-ray BOX1より(ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント、2020)

『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』

放送:2016年〜
原作:荒木飛呂彦
制作:david production
キャスト:小野友樹、梶 裕貴、高木 渉、櫻井孝宏、小野大輔 ほか
あらすじ:今なおシリーズの連載が続く、荒木飛呂彦原作の『ジョジョの奇妙な冒険』第4部。エジプトでの空条承太郎(くうじょう・じょうたろう)と宿敵DIOとの決戦から11年後、日本のS市杜王町(もりおうちょう)を舞台に繰り広げられる、新たな「スタンド使い」たちの戦いを描く。

──東方仗助(ひがしかた・じょうすけ)は、実は、第2部の主人公ジョセフ・ジョースターの隠し子。第4部の主人公であり、生まれ育った町を守るために立ち上がる、心優しきスタンド使いです。

誰もがタイトルを耳にしたことのある作品で、そのど真ん中のジョジョ役をやらせていただく――お芝居はもちろん、声優のポジションとしても、地に足をつけている役者でなければ任せていただけないものだと思いました。また、この役を通して僕を知ってくださった方も本当にたくさんいてくれて。自分のこれまでの声優人生における、集大成的なキャラクターです。

1年近くかけて収録していくにあたって、素晴らしいキャストのみなさんとお芝居を交わすことができたことも、とても印象深いですね。

──仗助の持つ「熱さ」や「優しさ」は小野さんご自身とリンクするようにも感じるのですが、小野さんは彼のどんなところが魅力だと捉えていますか?

ありがとうございます。まさしくそのあたりで、男気があって優しい、家族思いのいい子というところ。仗助は本当にイイやつなんですよ(笑)。

──独特なセリフ回しなど、いわゆる『ジョジョ』調も特徴的な本作。収録に臨む際、どんな工夫をしましたか?

それまでの積み重ねが大事な作品なので、過去シリーズのDVDを全巻観つつ、あわせて原作も読みました。そうして研究するなかで、キャストのみなさんが本当に“文字通り”表現されているのがわかって。それを目の当たりにし、僕もまずは原作通りのセリフ回しを忠実に再現したいという気持ちで、仗助と向き合いました。

それから、仗助を演じるにあたって、(第3部の主人公でもある)空条承太郎役の小野大輔さんとふたりでご飯に行ったんです。そのときに掛けていただいた言葉がすごく嬉しかったですね。「友樹は“真ん中”を担当するとなると、多分いろいろ背負ってがんばろうとしちゃうと思うけど、大丈夫だ。杜王町はみんなで守っていく町だから」「周りに頼っていいんだぞ」と――改めて今振り返ってみても、そのとおりだったなと感じます。

小野友樹

小野友樹

役者冥利に尽きる「友樹さんだから、このキャラを好きになった」

『黒子のバスケ』 1 [DVD] より(バンダイビジュアル、2012)

『黒子のバスケ』 1 [DVD] より(バンダイビジュアル、2012)

『黒子のバスケ』

放送:2012年〜
原作:藤巻忠俊
制作:Production I.G
キャスト:小野賢章、小野友樹 ほか
あらすじ:『週刊少年ジャンプ』のバスケットボールマンガで、テレビアニメは3期(全75話)に渡って放送された。新設の誠凛高校バスケットボール部に入部した黒子テツヤ(くろこ・てつや)は、非力だが、極端な影の薄さを生かしたパス回しという特技を持つ。そこで頼れる仲間と出会った黒子は、「キセキの世代」と呼ばれる元チームメイトたちの強豪校との戦いを繰り広げていく。

──黒子が誠凛高校で出会い、最高の相棒となるのが、本場アメリカからの帰国子女である火神大我(かがみ・たいが)。圧倒的なパワーと天賦の才能を持ち、チームのエースとして、試合を重ねるごとに成長していきます。

声優人生だけではなく、僕自身の人生においても大きな転機となったキャラクターのひとりが、この火神です。この作品で、それまで持っていた夢がいろんな形で叶いました。

まず、オープニング主題歌を谷山さんのユニットGRANRODEOが担当し、しかもシーズン中盤からは火神にとって兄弟でもありライバル的存在でもある氷室辰也(ひむろ・たつや)役として共演もさせていただいて。そのうえライブイベントでは、火神と氷室のデュエット曲をステージ上で一緒に歌わせていただきました。もはや、夢でさえも思い描いていなかったような光景を、火神が叶えてくれました。

──火神は小野さんのキャリアのなかでも長く付き合ってきた役ですが、演じる上で大切にしていたことは?

常にチャレンジャーであること、ですね。「勝てねェぐらいがちょうどいい」という彼のセリフが、それをよく表していると思います。常に強いやつに戦いを挑んで、負ければもちろん悔しいけれど、その勝負自体を楽しめている男。それが火神大我ですから。

──現場はどんな雰囲気でしたか?

熱さに溢れていましたね。音響監督の三間(雅文)さんが焚き付けてくださる方でしたし、キャストのみんなもその想いに応えようとする現場でした。本当にスポーツをやっているんだ!ということを大事にしながら演じていました。

ブース内にちょうど席と席の間が離れている場所があって、黒子(テツヤ役の小野賢章さん)と火神は隣同士ではあるものの、あえてそこに座っていました。相棒だけどベッタリはしない、おたがい無意識にそんなイメージがあったのかもしれません。

──熱狂的なファンの多い本作ですが、ファンの方からはどんな声が届きましたか。

「火神を演じていただいてありがとうございます」という言葉をすごく多くいただけましたね。そして「友樹さんだから、火神を好きになりました」と。役者冥利に尽きるなと思います。最高です。

──火神役を演じたことで、小野さんご自身は何が変わったでしょう?

ギリギリまで追い込まれて全力の力を出しきるって、お芝居はもちろん、生きているなかでもあまりないことなんですよね。『黒子のバスケ』は、そうした部分を引き出してもらえることがすごく多くて、お芝居におけるゼロとマックスの幅を育ててもらった、という感覚があります。また、仲間と一緒に作品を作っていくことの大切さも、この作品を通して学ばせてもらいました。

──今までお聞きした5人のキャラクターのなかでも、「声優として軌道に乗れた!」と実感できた役は?

やっぱり火神です。本当に多くの方に僕を知っていただけるきっかけになったという意味で、大きな作品だったと思います。

 

号泣したライブ初日。それは自分ですべてを背負った集大成

小野友樹

──小野さんご自身は、現在、何の“ファン”でしょう?

変わらず谷山さんのファンですね。今も家に谷山さんのアクリルスタンドを飾っています!

──ファン活動をするなかでも印象的だったことは?

GRANRODEOのライブ会場のグッズ売り場で、グッズをほぼ全種類買おうとしていたんです。そしたらレジの売り子の方が、「実は私、小野さんのファンなんです」と声をかけてくださって。

──ファンの輪が巡り巡って!

そうなんです。その日は、ただの“ロデオボーイ”としてただ純粋にライブを観に行っていただけなのに、なんとそこに自分のファンの方がいるという……なんとも不思議な世界線に紛れ込んだなと思いました(笑)。こんな自分にもファンの方がいるのだなと思うと、グッときましたね。

──作品への出演のほかにも、キャラクターとしてのライブ出演やご自身の音楽活動、海外でのファンミーティングなどさまざまな活動を行われていますが、なかでもひとつ忘れられない日を挙げるなら?

選ぶのは難しいですが、去年おこなった自主ライブが心に残っています。楽曲からCDリリース、ライブに至るまで、仲間と自分たちだけで作っていったので、ライブはその集大成。だからか初日をやりきって最後の挨拶をする瞬間、号泣してしまったんです。

今までもいろんな方に支えてもらってきましたが、今回はすべてを自分が背負う形だったので……。今やれているのはここに来てくれているみんなのおかげだし、そのみんなは僕と一緒に音楽を楽しみたいと思ってくれているからこそ足を運んでくれたんだ……と、いろんな想いが溢れ出してしまいました。

これからも感謝の気持ちを持ってみんなと一緒に歩いていきたいなと、これまで以上に強く思いましたね。

小野友樹

「お菓子のファンでもあります。いつもコンビニやデパ地下をうろついて、お菓子を探しています。年に何度か、『とらや』のおしることくず餅にハマる時期が定期的にあって、今ちょうどそれが来ています(笑)」

声優という職に就けたことが、「人生ゲーム」における上がり

──小野さんはいつも笑顔が素敵だなと思います。『Mission "CLAUS"』のMVも、最後に振り返る笑顔がすごく印象的でした。その笑顔の秘訣は何でしょう?


小野友樹 Mission "CLAUS" [Official Video]

何だろうなあ……とくに何かしているわけではないんですけどね(笑)。僕は自分の人生をとおして、この声優という職に就けたことが、「人生ゲーム」における上がりだと思っているんですよ。だからこの先何が起きても、日々の喜怒哀楽はあるけど、プラスであることには変わりはなくて。

……僕、ちょっと前の写真を見ると、全然笑顔じゃないんですよね。

──そうなんですか!?

撮影で「笑ってください」と言われても、笑い方がまずわからなかったんですよ。それでいろいろと模索するうちに、「ははは!(いつもの小野さんスマイル)」とやってみたら「これが笑顔なんだ!」とわかって。でも無理して笑顔を作るんじゃなくて、笑顔になる気持ちから作ろうと。じゃあ心から笑うにはどうしたらいいのかな……という順番で考えていった結果なんです。

──最後に、「この先の声優・小野友樹」について聞かせてください。

この先のことをあえて言葉にするなら、自分主催のフェスがやりたいです。作品への出演は、オーディションやオファーがないとできないですが、音楽活動に関しては幸いなことに仲間たちとそれができる環境を作れているので、一緒に音楽をやりたいと思っている人たちとフェスがしたい。道のりは険しいかもしれませんが、叶えたいですね。

小野友樹

【スペシャル動画】

 

プロフィール

小野友樹(おの・ゆうき)
1984年6月22日生まれ。静岡県出身。2006年に『ケロロ軍曹』で声優デビュー。その後徐々に活動の場を広げ、『めだかボックス』『君と僕』『グランブルーファンタジー』『抱かれたい男1位に脅されています。』など多数の作品で主要な役どころを務める。また2016年4月〜2017年9月には『おはスタ』(テレビ東京系)のMCも担当。人気作『あんさんぶるスターズ!』や『TSUKIPRO』では、リアルライブにも参加している。また2015年より音楽活動を開始しており、昨年「ソロアーティスト活動新プロジェクト」として再始動。『Friend Tree Wonderland』『WINTER VOICE FRIENDS』と2枚のミニアルバムを発売している。

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