結婚情報誌『ゼクシィ』12代目CMガールや、昨年放送された連続ドラマ『絶対正義』(東海テレビ・フジテレビ系)での“怪演”、今年は『恐怖新聞』(同)で連続ドラマ初主演を務めるなど、女優として注目を集めている白石聖さん。母親の読み聞かせをきっかけに“声”に興味を持ち、その後、大好きなアニメ『銀魂』との出会いにより“声優”に惹かれていったそうです。そんな白石さんに声の仕事に魅了される理由、そして「どうしようかな……」と悩みながらも選んでもらった“好きな声”の声優3人について、熱い思いを語っていただきました。
撮影:KOBA 取材・文:遠藤政樹
記事制作:オリコンNewS
声へのこだわりは小学生時代の「音読」がきっかけ
――声の仕事に興味を持つようになったきっかけを教えてください。
子供の頃に母が読み聞かせをしてくれていました。その影響もあったのか、小学校の「音読」の宿題がすごく好きでした。声に出して読むとか、そういったことが子供の頃から好きでしたね。
あとアニメ『銀魂』がすごく好きで、マンガで読んでいたキャラクターがアニメ化され、声がつくと「生きている!」と感じて、小学生の頃からなんとなく声に携わるお仕事って素敵だな、すごいなという感じで興味がありました。
――もともと何かを声に出して伝えるということ自体に惹かれていたのですね。声優に憧れていた中、現在は女優をされています。どのような経緯で変化していったのでしょうか。
音読が好きで、アニメも好きで、共通するのが「声のお仕事」ということで、漠然と声優ってすごいなという気持ちでいました。将来のことですごく迷っていて、声優は狭き門ですし、憧れはあったけど自分がなれるとは思っていませんでした。それで今の事務所の方に声をかけていただいたとき、お芝居するという部分では声優も俳優も通じるものがあるなと思って「やってみよう」と思いました。
白石聖がリスペクトする声を持つ声優“3選”
――それでは「この人の声がすごい!」という観点で、白石さんのリスペクトする声優3名を教えて下さい。また、選んだ理由や声の魅力、この声優の声はここを聞いてほしいというポイントも併せて教えてください。
林原めぐみ:その声質は色気があふれ“唯一無二”
まずは林原めぐみさん、絶対外せません! 声の幅が広い。キティちゃん(4代目)、綾波レイ(『新世紀エヴァンゲリオン』)、ムサシ(『ポケットモンスター』)と挙げていったらきりがなくて。無邪気というか、がむしゃらな少年の声も出せるし、物静かな女の子の声も出る。林原さんの声って唯一無二だと思います。
――役の振り幅はかなりありますね。それでいて芯のある声質がとても素敵です。
寄せて誰かが出せる声じゃないから、ナレーションをされていても「絶対そう(林原さん)だよね」というのがすぐにわかる。映像とマッチしている声を出されているから、すごいなって思います。
――林原さんが演じているキャラクターの中で特に好きなものはありますか?
キャラが好きというより、林原さんの声が好きなんです。成長して声優の存在をちゃんと知った時、「あのキャラもあのキャラも、あのキャラも林原さんなの!? すごい!」という衝撃が一番大きかった声優さんです。
『ポケモン』に“ロケット団”のムサシ役で出演している林原めぐみさん
――すごくわかります。子どもの頃に何も考えずに聞いていた声が、実は自分が好きな声優だったり意外な大物声優だったり、というのは本当に驚きますよね。では、林原さんの声の推しポイントは何でしょうか?
“色気”じゃないですかね。ちょっとハスキーな声ですけど、あのハスキー感は出そうと思って出せる声じゃないと思います。綾波も物静かに淡々としゃべっていると思っていても、奥の方に(林原さんが)いるじゃないですか。ふとした時の憂い、アンニュイさを感じる声がとても魅力的ですね。
――たしかに。どんなキャラの声を演じていても、奥の方にクールさが感じられます。続いては……?
鈴村健一:“初恋”キャラを担当した声優
「私の初恋は『銀魂』の沖田総悟!」と言っても過言ではないぐらい大好きなキャラクターの声を担当されているのが鈴村さんです。アニメになった沖田を観て「キャラクターが生きている!」と思わせてくれた声優さんの一人です。
\御用改めである!/
— アニメ銀魂 (@gintamamovie) 2020年10月17日
19時より配信開始です!
『よりぬき銀さんオンシアター2D 真選組動乱篇』
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画像1枚目が沖田総悟
淡々と抑揚なくしゃべる部分に加えて、沖田の憎めないけどちょっとムカつく後輩感というか、土方十四郎(声:中井和哉さん)に対する態度に幅や深みが見えた気がして、より好きになりました。あと「江戸口調をアニメではどうやるのだろう?」と思っていたけど、めちゃめちゃナチュラルで「なるほど!」と思いました。
――好きなキャラクターに鈴村さんの声が乗り、さらに魅力的になったということですね。他に鈴村さんが担当している好きなキャラクターはいますか?
『桜蘭高校ホスト部』もめちゃめちゃ好きで(常陸院)光の声が鈴村さん。光はちょっとツンデレですけど、鈴村さんのツンデレっぽい声が好きで「わかるわかる」と思いました。演じているキャラクターも違うから声もまったく別なのですが、「この人の声、好きだ」って改めて感じました。
あと『うたプリ』(『うたの☆プリンスさまっ♪』)の(聖川)真斗も、またちょっと違う鈴村さんの声で、沖田はちょっと軽めですけど、真斗は重低音というか深みが増した声で艶っぽい感じも良いですね。
――二枚目から三枚目まで演じられる鈴村さんの声は、どこか気だるさがあったり、それでいてカッコよさもあったりと表現力が素晴らしいですね。では白石さんが思う、鈴村さんの声の推しポイントはどこでしょうか?
鈴村さんの声の良さは、無邪気さ、少年っぽさが魅力だと思います。私は沖田とか光とか、そういったキャラクターの声が好き。もちろん真斗の声も好きですけど。どことなく無邪気な要素が感じられる声がすごく好きですね。
――とてもわかります。それでは次の方をお願いします。
三石琴乃:子どもの頃から変わらぬ声に愛着
三石さんは、私にとって『美少女戦士セーラームーン』の印象が強いです。物心がついた時に初めて観たアニメが『セーラームーン』で、小さい頃の夢は「セーラームーンになりたい」だったくらい、大好きなんです。
ずっと観てきた作品ですが、声が変わらないですよね。新しいシリーズも三石さんはそのまま続投されていて、「うさぎちゃんはこの声じゃなくちゃ」って思います。『Going! Sports&News』(日本テレビ系)でナレーションもされていて、ニュース番組でも声を聞く機会が多いのもうれしいですね。
最新作 劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」《前編》予告映像
――やっぱり『セーラームーン』は外せませんよね。そんな三石さんの声について、白石さんが推したいポイントは何でしょうか?
本当キラキラした声というか、純白という感じがしますね。(『新世紀エヴァンゲリオン』の葛城)ミサトさんみたいな艶っぽい声もお持ちだし、そこが魅力かなと思います。
――なるほど。三石さんが声を担当しているキャラクターを見ると、例えば『手裏剣戦隊ニンニンジャー』の有明の方(ありあけ・のかた)や『ドラえもん』ののび太君のママなど、ちょっとワクワクしますよね。すべて違うのに、でもどれも三石さんなんですよね。
そうなんですよね! どの方もそうだけど、作品にすごくマッチしている。俳優や女優は顔が見えているから「○○さんだから観る」という人もいる。もちろん声優ファンの方も、例えば鈴村さん目当てで作品を観ることもあるでしょうけど、メインはやっぱり映像。声優の方は、そこに自分の影を匂わせつつも上手く溶け込んで自由自在というのが本当にすごいと思います。
他にも、蒼井翔太さんは歌唱もすごいなって思います。それと、山寺宏一さん。実際に発声しているのを見た時、山寺さんは声が口からではなく体全体から響くように出ているように感じて、やっぱりレジェンドって思いました。
自分の声にコンプレックスを感じていた時期も……
――白石さんは椎名林檎さんやクリープハイプなどを好きなアーティストに挙げられていますね。好きな声の傾向や特徴があれば教えてください。
ちょっと毒っぽいスパイス要素があったり、中毒性のある声がすごく好き。椎名林檎さんも絶妙なハスキー加減というか、歌詞やファッションとかもそうですけど、やっぱり誰もマネできない歌い方、声の持ち主だから憧れちゃいます。
――そういう白石さんの声も聞きやすく穏やかな声質で素敵です。
ありがとうございます(笑)。でも自分の声はコンプレックスで、もっと可愛い声が良かったと思っていました。花澤香菜さんや釘宮理恵さんみたいな、可愛らしい声にすごく憧れていた時期もありました。
だけど「そのままでいい」って思わせてくれたのが林原さん。林原さんは、高い声はもちろん出せるけど、地声もとても素敵じゃないですか。声優になりたいと思っていた時期も、「自分のコンプレックスをなくしたい」という意味でなりたいと思っていた部分が強かったですね。
挑戦してみたい声の仕事は“アニメのアフレコ”
――白石さんは、ドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション「情念の男~ギリヤーク尼ケ崎~」』(2019年4月14日放送、フジテレビ系)などでナレーションを務められましたが、実際に声の仕事に携わってみていかがでしたか?
ブースで声を当てている時間はすごく好き。先に演技のお仕事をしていたので、映像に合ったトーンで声を乗せていくという部分では、シチュエーションを読み取って「ここは少し声のトーンを落とそう」など、ちょっと先に考えを回すことができたかもしれないですね。
――女優業が生かせたということですね。さらに白石さんは、ラジオ番組『白石聖のわたくしごとですが…』(文化放送『レコメン!』内)で、2018年からパーソナリティーを務めていらっしゃいます。パーソナリティーも声の仕事の一つですよね。
ラジオは本当に素の自分で何も考えていない(笑)。ナレーションは白石聖として仕事をしているのでちょっと質の良い声を出したいけど、ラジオはお便りをくださるリスナーの方と対等にお話がしたいので着飾ることはなく、普段の私を出すようにしています。
――なるほど。素の自分で話すことに難しさや大変さを感じることはありますか?
ラジオを1人でやられている方はたくさんいますけど、ゲストを迎えたりして2人でやっている方のイメージが強くて、自分1人なのが最初は「ちょっとさみしいな」と思っていました。
最近は放送作家さんに話を振ったりやりたい放題ですけど、それを許してくれる優しい現場です。本当にすみません……っていう感じですね(笑)。
――そういう部分も含めてラジオの魅力かもしれません。ちなみに、ラジオ番組のコーナー「ガチ恋ごとですが...!」は、今リスナーが“ガチ恋”していることを募集する企画です。白石さんが今ガチ恋されているものがあれば教えてください。
私の“ガチ恋”は、今はお休み中ですね。でも『ひぐらしのなく頃に』の新しいアニメ(『ひぐらしのなく頃に 業』、TOKYO MXなどで10/1から放送)が始まるので、それは観ようと思っています。ただ、『ひぐらし』では(園崎)詩音が一番好きなのですが、今回はいないらしいので……(笑)。
――それは残念ですが、アニメは楽しみですね。最後に白石さんが今挑戦してみたい声の仕事は何ですか?
アニメーションに声を当ててみたい。叶えばいいなと思います。
書籍情報
白石聖 ファースト写真集『白石聖 2016-2020』(ワニブックス)
少女から大人の女性へ――白石聖・4年間の軌跡。
今作は、彼女が高校3年生だった2016年より2020年初夏までの4年間をまとめた成長記録となっている。東京、千葉、群馬、熊本、神奈川、福岡、台湾など各地で収められた、透明感あふれる素顔の数々。四季折々の風景と共に、懐かしい制服姿、浴衣など多彩な衣装も見どころ。約7万点の写真の中から、珠玉のカットを厳選し、200ぺージを超える大作に仕上がっている。“白石聖の軌跡”を大切に紡いだ作品。。
プロフィール
白石聖(しらいし・せい)
1998年8月10日生まれ、神奈川県出身。映画『サイレント・トーキョー』、『胸が鳴るのは君のせい』、日本テレビ系ドラマ『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』などに出演。今年は8月29日スタートの東海テレビ・フジテレビ系オトナの土ドラ『恐怖新聞』で連続ドラマ初主演を務めたほか、9月には、内村光良らが出演するコント番組『LIFE!~人生に捧げるコント~』(NHK総合)にも初出演し、活躍の幅を広げている。
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この記事は、LINE初の総合エンタメメディア「Fanthology!」とオリコンNewSの共同企画です。今後、さらに気になる人の「これまで」と「これから」をお届けしていきます。
