鈴木絢音“辞書を読む”――言葉の森の遊び方 辞書に「乃木坂46」を載せるなら?

鈴木絢音

乃木坂46の鈴木絢音さんは、多いときは「3日で1~2冊」読むほどの本の虫。小説やエッセイなど読むジャンルは多岐にわたります。くわえて、辞書への愛が深いことで知られ、以前、バラエティ番組『乃木坂工事中』で辞書の面白さを熱弁する姿が話題を呼びました。辞書を引くだけでなく読むことに愉(たの)しさを見出す鈴木さんに、その面白さを知ったきっかけやお気に入りの辞書、そして、もし「乃木坂46」「鈴木絢音」が辞書に載っていたら……などを細かく質問。静かな語り口ながらも、沸々と愛情が伝わってくる鈴木さんの“辞書がたり”をお楽しみください。

撮影:KOBA 取材・文:遠藤政樹
記事制作:オリコンNewS

「読み比べる」のが楽しい 辞書好きの原体験は

鈴木絢音

――そもそも本を読むことが好きだなと思うようになったのはいつからですか?

ここ最近というか、気づいたら読書好きになっていました。小さい頃から母が私に本を読む習慣をつけようと頑張ってくれていたというのもありますね。

――自然に本と触れ合える環境があったのですね。読書好きの中には鈴木さんのように辞書を愛好する方もいるかと思いますが、辞書への“扉”が開いたきっかけは何だったのでしょうか。

暇があったから……ですね(笑)。

鈴木絢音

――なんと身もふたもない(笑)。でも何かにハマるきっかけは、意外とそういう単純なものかもしれませんね。では、辞書を読むようになったのは何歳頃からですか?

辞書を初めて持ったのが小学生のときで、やっぱり暇だったのでしょうね。最初に読んだのは辞書というより、図書室にボンッとセットで置いてあるような大きな百科事典でした。そのときは何となく開いたのですけど、今思えば、あれがきっかけだったのかもしれません。

――なるほど、百科事典が辞書や辞典が好きになる入り口だったのですね。鈴木さんが「辞書って面白い」と思うのはどのようなときですか?

同じ言葉でも、複数の辞書を読み比べてみたときに語釈が「違うな」と気づいたときが面白いですね。ポピュラーなところですと、例えば「右」という言葉は比較しがいがあると思います。

鈴木絢音

――当たり前のように使っている言葉こそ違いがある、と。同じ単語を複数の辞書で引き比べるのは、面白いですね。

そうなんです。単語の解説は辞書によって結構違ったり、語釈も異なったりするので読んでいて楽しいですね。

鈴木絢音の推し辞書・図鑑3選

鈴木絢音

視点の違いが面白い『新明解国語辞典』

――そんな辞書好きの鈴木さんですが、今は何冊ぐらいの辞書を所有されていますか?

そんなに数は持ってはいないのですが、国語辞典は5冊ぐらいあります。

――国語辞典だけで5冊……むしろ持っている方だと思います。その中でもお気に入りの辞書を、その理由や個性と共に教えてください。

そうですねぇ……いろいろ考えても結局お気に入りとして挙げるとなると、『新明解国語辞典』(三省堂)になっちゃいますね。

鈴木絢音

――お気に入りの理由は何ですか?

語釈など中身の面白さです。特にほかの辞書と視点が違うところが面白いと思います。

――言われてみると、辞書ごとに編者が異なるので、方針によって異なりますね。その観点から辞書を選ぶのも楽しそう。ところで『新明解国語辞典』といえば、改訂版の第八版が発売されます。

第七版を持っていますが、語釈や用例なども変わるようなので買おうと思っています。

――新版の購入後、古い版はどうしますか?

(捨てずに)とっておこうかなと。もしほしい人がいれば譲りますけど、きっといないだろうな……(笑)。

鈴木絢音

真っ直ぐな感じが好きな『三省堂国語辞典』

――では続いてのお気に入りの辞書を教えてください。

『三省堂国語辞典』(三省堂)です。『新明解国語辞典』と比較するのが好きなんです。

――『三省堂国語辞典』にはどんなイメージを持っていますか。

辞書自体、どちらかというと真面目なものかもしれませんが、なかでも『三省堂国語辞典』はより真面目な感じがするというか、(語釈が)真っ直ぐな感じがします。

――冠番組の『乃木坂工事中』で紹介されていた通り、やはり『新明解国語辞典』と『三省堂国語辞典』は「二大巨頭」的な存在なのですね。

私の中では間違いなくそうです!

鈴木絢音

きれいさに見とれた『世界で一番美しい元素図鑑』

――その2冊以外にも好きな辞書はありますか?

白い辞書なのですけど……名前が出てこない(笑)。

――色ですか!?

私、色で覚えているんですよ(笑)。あとは父からお下がりでもらったのも、名前を覚えていないのですが気に入って使っています。

――お父さまといえば、誕生日にご両親から『広辞苑』(岩波書店)をプレゼントされたとのことですが、初めて所有してみていかがですか?

それまでは図書館などで使うぐらいで、大きい辞典は持っていなかったのです。『広辞苑』はめちゃくちゃ重たくて、なかなか慣れません。

鈴木絢音

――お気に入りの『三省堂国語辞典』などと比べてどうですか?

『広辞苑』は、載っている言葉数が多いので、ほかの辞書で調べても出てこないときに使うことが多いです。ただ、残念ながら私にとっては本当に重たいんです(笑)。

――わかります(笑)。『広辞苑』は実用的なのですが、さっと引きたいときには一苦労する重さです。辞書と並んで図鑑もお好きとのことなので、お気に入りの図鑑をぜひ教えてください。

『世界で一番美しい元素図鑑』(創元社)かな。話題になっていて買ってみたら、すごくきれいで好きですね。

ファンからの貴重な情報に感謝 買って救われた辞書

鈴木絢音

――老舗から話題のものまで幅広いですが、辞書や図鑑など最新情報はどうチェックしていますか?

新しい辞書が出ることはそれほど多くないので、ビッグなニュースになるイメージがあり、そういうときは必ずチェックします。あとは本屋さんに行ったら必ず辞書のコーナーは見ますね。最近ではファンの方が教えてくださるようになって。とてもありがたいです。

――ファンの方の想いが染みますね。そんなファンの方からの情報で購入したものはありますか?

『NHK日本語発音アクセント新辞典』(NHK出版)は教えていただいて買いました。私は秋田生まれなのですが、方言のなまりを気にしていたとき、どこにアクセントを置けば標準語になるのかがわかるその辞書に助けられました。アナウンサーさんなどが持っていらっしゃるようなものです。

鈴木絢音

――なるほど、話す職業の方にはとても便利そうです。では、今欲しい辞書は?

類語辞典です。1冊持っているのですが、ちょっと足りなくて。もう1冊くらいは欲しいなと思っています。

――たしかに類語辞典は便利ですが、鈴木さんはどのような場面で使うのでしょうか?

ブログを書くときに「この言葉しっくりこないな」「この言葉じゃ言いたいことを表せていない」といった場合、何か別の表現や言葉はないか、といった感じで使います。

鈴木絢音

――ブログの表現一つにもこだわっているのですね、さすが辞書好きです。ちなみに内容や状況にもよりますが、言葉を選ぶ際のポイントは何かありますか。

素直に書きたい気持ちはありつつ、一方できれいにまとめたくなっちゃう。全然そんなつもりはないけど、書き直しているうちに気づいたら“きれい”になってしまって「あぁ……」と思いながらも更新してます(笑)。満足はしてないんです。

付箋を貼りすぎて……辞書が読めなくなったことも

鈴木絢音

――ここからは辞書の使い方について聞いてみたいと思います。調べものをする際の辞書は決めていますか?

特に決めていなくて、何気なく手に取っちゃいますね。それですっきりしないときは、ほかの辞書やインターネットの出番になります。

――なるほど。第一の手段が紙の辞書、第二の手段でネットも活用されるのですね。

そうです。基本的には紙の辞書が好きですが、電子辞書も使っていたことがあります。

鈴木絢音

――では、覚えておきたい言葉や語釈などにマーカーを引いたり、ページの角を折り返してドッグイヤーしたりなどはされますか?

学生時代はそうしていたのですが、付箋がとにかく多くて本当にぐじゃぐじゃになっちゃって……。付箋をつけて、マーカーも引いていたのですが、透けるタイプじゃない付箋を使っていたので、辞書がそれらでまったく読めなくなってしまい、やめました(笑)。

――そんなことがあったのですね(笑)。

あれは大変でした……。全部はがしましたが、すごい量でした。今はまっさらなまま使っています。

鈴木絢音

――辞書愛好家として誰かに辞書を薦めるなら、どう推しますか?

紙の辞書はなかなか手に取りづらい部分もあるなと自分でも思うので、まずはネットでもいいから言葉を調べる習慣がついてくると、そこから徐々に電子辞書にいき、紙の辞書にもいくのではないでしょうか。

メンバーと読書の話はしない? 本好きを「そっとしておく」理由

鈴木絢音

――辞書以外にも多くの本を読まれる鈴木さんですが、好きな本や心に残った本などを教えてください。

最近読んだのでは『薬指の標本』(小川洋子、新潮文庫)。すごくグッときましたし面白かった。読んだ後に浸っちゃった作品です。

本はインスピレーションで選ぶことが多いのですが、これは初めて、本を選んでくれる「選書サービス」を利用して出合った本です。読んでみて気に入る作品もあるので、やってみる価値はあるなと思いました。あとはエッセイも好きで、中島らもさんや大槻ケンヂさんの著作を読んだりしますね。

鈴木絢音

――メンバーの中に辞書愛を語り合える人はいますか?

今のところはいないですね(笑)。

――本好きの方はいらっしゃるかと思いますが、お互いにおすすめを紹介することはありますか?

現場で本を読んでいる子がいても表紙を隠している子もいますし、おうちに帰ってから読むというメンバーもいますけど、あまり本の話はしないですね。読書を「自分との対話」みたいな感じで楽しんでいるのだと思うので、そっとしておいています。

鈴木絢音

――読書が趣味だと本の保管場所は大変だと思いますが、どうしているのでしょうか?

めちゃくちゃ困ります。実家に送っちゃいますけど、実家が今どうなっているのかがわからない(笑)。

自宅には3つ本棚があるのですが、小説などを入れている本棚が1つあり、そこに入りきる量で収めようと自分の中で決めています。なので、なるべくお気に入りの本、読み返そうと思う本だけを入れるようにしています。

――辞書はもちろん“1軍メンバー”?

そうですね。ただ厚みがあってかなり場所を取るので、なるべく買わないようには心がけています。

「乃木坂46」「鈴木絢音」を辞書に載せるなら

鈴木絢音

――ここまで辞書の魅力を聞いてきましたが、その中に語釈の面白さという話題がありました。そこで、もし「乃木坂46」と「鈴木絢音」という項目が辞書に載っていたら、どんな語釈になるか、考えてみてもらえますか?

乃木坂に関しては「日本一のアイドルグループ」という言葉が入っていたらうれしい。

――それはかなりいいですね! では「鈴木絢音」は?

なんだろうな……難しいですね。別に私、学者とかでもないですもんね。肩書きはアイドルですけど、今のところ何も残していないからなあ(笑)。もうちょっと何か偉業を成し遂げたときに載りたいですね。何か見つけたとか、世界的な大発見とか。そういう人として載りたいと思います。

鈴木絢音

――今回は「もしも」で聞きましたが、将来的に辞書には載ってみたいと思いますか?

その欲は、そんなにないかもしれないですね(笑)。辞書はやっぱり読む方が好きです。

――ところで、インタビューをしていて鈴木さんの話す日本語や言葉づかいが美しいと感じました。読書経験や辞書を愛読しているからといった理由もあると思いますが、言葉づかいでこだわっている点はありますか?

いやいやいや……(照)。よく母には「言葉づかいがきたない!」って怒られます(笑)。なるべくわかりやすい言葉できれいに話そうと思っているのですが、なかなか難しいなと思う部分もあります。

自分にとっても言葉の丁寧な人は話していて印象が良いですし、言葉づかいは一番気軽にできる“おしゃれ”と思っているので、自分も心がけています。

鈴木絢音

――素敵な心がけですね。それでは、鈴木さんにとって「辞書」とは?

辞書のことをよく「言葉の海」や「言葉の森」などと表現する方が多いと思うのですが、私的には“森派”です。さまよいつつ探検しつつも時々実を採ったり動物に遭遇したり、そういう感覚。だから森の方が近いです。

――言葉の森をさまよい、新たに出合う。美しい表現です。もしこの世から辞書がなくなったら?

困っちゃうなあ……。大事なもの順位の中で、かなり高いので。「家族」の次くらいにくるかもしれない(笑)。だから、辞書がなくなったら生きていけないですね。

プロフィール

鈴木絢音

鈴木絢音(すずき・あやね)

1999年3月5日生まれ。秋田県出身。2013年3月に乃木坂46第2期生オーディションに合格。2015年2月、正規メンバー昇格が発表される。2018年7月には乃木坂46の21stシングル『ジコチューで行こう!』で初の選抜メンバー選出。今年11月10日には1st写真集『光の角度』(幻冬舎)を発売した。

 

作品情報

鈴木絢音1st写真集『光の角度』(幻冬舎)

鈴木絢音1st写真集『光の角度』(幻冬舎)
撮影地は、フランス領ポリネシア・タヒチ。タヒチ島とモーレア島の二つの島でロケを行った。カメラマンは、これまで様々なアーティストや俳優を撮影してきた新津保建秀氏。のびやかに海を泳ぐ姿や、テラスで本を読む横顔、お酒に酔って眠ってしまった寝顔、ちらりと覗くうなじの白さ……。タヒチの自然と鈴木さんの様々な表情が重なり、新津保氏の作り上げた独特の世界観の中に入り込んだような、物語性のある一冊となっている。
ヘルシーな水着姿と、初々しさや恥じらいを感じる下着姿も収録。南国の地・タヒチにて自然体で過ごした21歳のリアルを閉じ込めた一冊となっている。

 

 

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この記事について
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この記事は、LINE初の総合エンタメメディア「Fanthology!」とオリコンNewSの共同企画です。今後、さらに気になる人の「これまで」と「これから」をお届けしていきます。
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